| 弁護士 |
うーん、病弱のお子さんを抱えて、夫には若い愛人ですか‥‥、相談者にとって今の状況はきついでしょうね。 |
| 岡野 |
心配なのは、あと2年で別居期間が5年になります。別居5年で、裁判上の離婚が認められないでしょうか? |
| 弁護士 |
まだ民法は改正されていませんし、有責の側からの離婚請求は裁判所もあまり認めていません。ましてこのケースは、病気の子どもを抱えていますので、認められることはないでしょう。 |
| 岡野 |
すると、このままでも生活は安定しているわけですが、今は不況の時代。会社の状態が悪くなったら、生活費が滞る可能性もありますね。 |
| 弁護士 |
そうですね。どんな請求ができるのか、相談者が離婚をした際のシミュレーションをしてみましょう。まず家が、他人の土地ではなく夫の親の土地に建っています。親とは土地の賃貸借契約を結んでいないでしょうから、民法上では使用貸借(※1)になります。この場合、土地からの立ち退き料として、更地価格の2割くらいを得られると考えています。 |
| 岡野 |
すると、まず立ち退き料ですね。財産分与はどうでしょうか?相談者の夫は2代目で、親から受け継いだ財産もあるようです。 |
| 弁護士 |
財産分与として請求できるのは、夫と相談者が築いた財産の二分の一です。まず家ですが、これは夫婦の共有財産なので、妻は離婚後もこの家に住み続ける権利があります。もういたくないなら、「この家から出ていくから、マンションの購入資金を出して欲しい」と、言ってもいいでしょう。 |
| 岡野 |
家の権利を放棄する代わりに、ということですね。 |
| 弁護士 |
そうです。夫にゆとりがあるようなので、かなり取れる可能性があります。あと預貯金や夫の会社の株を半分請求できます。日本の会社は経営と所有の分離がはっきりしていないので、たぶん、この相談者の夫の場合、夫がほとんどの株を所有しているでしょう。
「親の代から受け継いだ部分もある」と、主張するかもしれませんが、これも半分取れる可能性があります。株を取られると経営上困るので、「株の代わりに金銭で払う」など、大幅な譲歩を引き出すことも可能です。 |
| 岡野 |
その時はかなりの金額になる可能性がありますね!
例え株を所有しても会社の借金を背負うことはないし、いいですね。あと、夫と愛人にそれぞれ慰謝料を請求できますよね。最近カラットクラブの相談の例では、妻の側から愛人に慰謝料請求すると、夫が戻って来るケースが多いんです(笑)。 |
| 弁護士 |
あははは、今は不景気だし、離婚には金がかかるからね。今まで「妻とは別れる」なんて言っていたのが、急にうろたえたりするので、愛人の方が愛想をつかしちゃうんでしょう。 |
| 岡野 |
問題なのは、離婚した後の相談者の生活費です。病弱なお子さんを抱えては外で働けません。 |
| 弁護士 |
このケースはお子さんが病弱なので、相談者の養育が必要です。つまり、相談者の生活費は子の養育費の中に含まれるべきなのです。今、生活費としてもらっている額が、子どもの養育費として認められるでしょう。気をつけて欲しいのは、話し合いで養育費を定めた場合です。支払いが滞ったら差し押さえられるよう必ず公正証書(※2)にしてください。また、「子どもが病気・事故など不慮の出費は夫が支払う」との一項を入れた方がいいですね。 |
| 岡野 |
ひとり親家庭には、国と自治体から児童扶養手当が出ます。また、お子さんに障害がある場合は、障害児養育手当も、同じく国と自治体から出ます。二つを併用すれば、東京都の場合は、月に12万ほどになるはずです。 |
| 弁護士 |
受給するには所得制限がありますので、その際は区市町村の担当窓口でご相談なさってください。 |
| 岡野 |
相談者は離婚しても生活は大丈夫でしょう。このままびくびくして暮らすのはお子さんの精神衛生上よくないですね。 |
| 弁護士 |
夫との離婚の話し合いが同じ敷地内で煩わしくて嫌なら、「離婚に関する話はすべて弁護士を通してください」と、言うこともできます。 |
| 岡野 |
離婚はエネルギーがいるので、今すぐは無理というなら、50歳までになどと、めどを立てて動いても。夫にゆとりがあるうちなら離婚請求をしても大きく取れるし、とりあえず取れるものは取った方が賢いのではないでしょうか。 |
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